
2023年の出生率が過去最低を更新する見通しとなっています。第一生命経済研究所の星野卓也氏の試算では、2023年の出生率は1.21となり、8年連続で前年を下回るとのことです。
出生率が低下している主な原因としては、コロナ禍による結婚数の減少や、価値観の変化、経済不安による影響が挙げられます。実際、結婚数は2020年が前年から12%、2021年は前年から5%減少しています。
また、星野卓也氏によると、日本人の出生数も前年比5%減の73万1,139人になったとのことです。厚生労働省が2月に発表した外国人を含む2023年の出生数は、前年比5%減の75万8,631人で過去最少を記録しました。少子化は政府の想定よりも速いペースで進行しています。
先進国の多くが人口維持に必要な出生率2.07を下回っており、韓国は0.72、フランスは1.68、米国は1.62となっています。厚生労働省は6月上旬ごろ、合計特殊出生率と日本人の出生数を発表する予定です。
2024年1〜3月期の出生数は、前年同期比6.4%減の17万804人でした。結婚数は1.3%増の13万6,653組でしたが、出生数から死亡数を差し引いた自然減は27万566人となり、前年より1万4,060人多くなっています。
2024年の出生率、前年よりさらに減少か 70万人を下回る可能性
2024年の出生数が前年よりさらに減少し、70万人を下回る可能性が高まっています。人口動態統計の速報値によると、2024年1〜3月の出生数は前年同期比6.4%減となっており、減少に歯止めがかかっていない状況です。
このペースで推移すると、2024年の出生数は68.4万人になると予測されます。2016年に100万人を割り込んだ出生数は、2019年に90万人を、2022年には80万人を下回りました。
国立社会保障人口問題研究所(社人研)の将来推計人口では、2024年の出生数は中位仮定を下回り、低位仮定に近づくとみられています。社人研の推計は2024年の出生数増加を想定していますが、実際には乖離が広がっています。
社人研の推計では、ここ数年の出生数減少の主な要因を「コロナ禍による一時的なもの」とみなしていますが、実際には2019年からコロナとは関係なく合計特殊出生率の低下や出生数の減少が加速しています。
足元の出生数減少は、若年層の価値観の変化や将来への不安など、構造的な要因に起因しているとのことです。少子化の加速に歯止めをかけるには、抜本的な対策が求められています。