2021年3月にLINEとヤフーが経営統合して以来、個人情報のセキュリティ体制に関する課題が明らかになっています。総務省は、情報漏洩問題に対する企業姿勢に不信感を持ち、LINEヤフーに対して行政指導を行うことを検討しています。
特に自民党内からは経済安全保障の観点から、厳しい対処を求める声が上がっているとのことです。2023年11月、総務省総合通信基盤局の担当者は「これまで言っていた話と違うじゃないですか」と、LINEヤフー側の説明に対して語気を強めました。
この時、LINEヤフーは約44万件の利用者情報が流出した可能性があると報告しています。問題の根本には、ウイルスに感染した韓国ネット大手ネイバーの子会社の取引先があり、日本のLINEとネイバーが一部システムを共通化していたため、サイバー攻撃の影響が及んでいました。総務省はシステムを共通化している認識はなかったとのことです。
日本国内のLINEユーザーは9,600万人に上り、その普及率の高さから地方自治体もLINEを行政手続きに使用しています。しかし、自民党は「不祥事を起こしても利用者が減らないのを良いことに、不祥事に真剣に対処していない」と批判しており、2024年の世界的な選挙イヤーを控え、セキュリティ対策に敏感になっています。
LINEヤフーの再発防止策 「対応が遅すぎる」と不満の声
1月に行われた台湾総統選挙の際、SNS上でさまざまな偽情報が拡散されました。拡散された偽情報は、中国による情報操作の疑いが持たれています。
この問題に関連して、台湾の政治や軍の高官を含む100人以上のLINEユーザーが、2021年7月にハッキング被害に遭遇した事実があります。LINEヤフーはこの問題に対処するため、2026年12月までに全ての再発防止策を終えると発表しました。
しかし、政府や自民党内からはその対応が遅すぎると不満の声が上がっています。対策が完了するまで、外務省や防衛省・自衛隊ではLINEの使用を停止し、自治体における新規導入も認めないよう求める意見が出ています。
LINEの普及背景には、異なるメッセージアプリ間でのメッセージ相互送信ができないことが一因とされています。例えば、iPhoneのiMessageは利用者同士であればiMessage間、非利用者にはSMSでメッセージの送受信が可能です。このため、日本でもLINEと他のメッセージアプリ間でメッセージを送りあえるような、相互運用性を導入する提案が出ています。
これにより、アプリの信頼性と利便性が競われる環境が生まれ、LINEも安易に市場を支配できなくなると期待されています。既にEUでは、デジタル市場法(DMA)を通じて大手IT企業に対して相互運用を求めており、この動きはグローバルなトレンドとなりつつあります。