日本製鋼所が、防衛省から装甲車26両を受注したことがわかりました。この受注により、同社の防衛分野の売上高は5割程度(100億円規模)増加する見通しです。
政府は中国や北朝鮮の軍備増強を念頭に、防衛予算を増やしています。2024年度の防衛予算は、前年度から17%増の約7.9兆円となり、過去最高を記録しました。
日本製鋼所は2月に「装輪装甲車」を26両受注し、2026年度をめどに陸上自衛隊に納入する予定です。今後10年ほどは、毎年度同程度の規模の受注が見込まれているとのことです。
装甲車の生産は、フィンランド企業の協力を得て室蘭製作所で行われます。日本製鋼所はこれまでも戦車に搭載する大砲などの生産を手掛けており、防衛分野の売上高は年200億円ほどありました。
一方で、国内の防衛産業は中小企業を含めて裾野が広いものの、この20年で100社以上の企業が採算が取れないことなどを理由に撤退しています。国内の供給網が手薄になると、技術力や生産力が低下し、抑止力も低下しかねません。政府は防衛装備をつくる国内企業を維持するため、発注時の利益率を高める考えも示しています。
ロシアのウクライナ侵略では、通常兵器の供給量が戦況に大きな影響を与えていることからも、日本企業の新たな装備への参入は、防衛力の向上に繋がると期待されています。
防衛省と日本製鋼所の動き 北海道室蘭地区で装甲車を生産予定
日本製鋼所は、防衛省と装輪装甲車26両の生産・納入契約を結びました。装輪装甲車とは、キャタピラではなくタイヤで駆動する装甲車のことで、舗装道路での機動性に優れています。
防衛省は2022年12月、フィンランドのパトリア社製「AMV」を次期装輪装甲車に決定し、日本企業受注によるライセンス国産を追求するとしていました。その後の2023年9月、日本製鋼所はパトリア社とAMVの製造・販売ライセンス契約を締結し、技術供与を受けて生産設備の強化を図ってきました。
防衛省は令和5年度防衛関係費として、「次期装輪装甲車(人員輸送型)の取得」に26両で136億円を計上しています。日本製鋼所はパトリア社の協力を得て、北海道室蘭地区の製造拠点で装輪装甲車を生産する計画です。