元・JAXA宇宙飛行士である野口 聡一氏は、イーロン・マスク氏が手掛けるスペースXを絶賛しています。その理由について、いま注目が集まっています。
2022年7月19日〜21日の3日間、宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE 2022」が開催され、2日目に野口 聡一氏は自身の宇宙飛行士の経験をもとに、未来の宇宙旅行・開発のあり方について語りました。
「宇宙キャスター」という肩書きも持つ一般社団法人そらビ代表理事の榎本氏が進行役としてスタート。最初に、2021年、宇宙飛行した一般の旅行者がプロの宇宙飛行士より多くなったことについて、意見を求められた野口 聡一氏は、スペースXの宇宙産業に与えた影響の大きさを述べました。
イーロン・マスク氏が率いるスペースXは、2020年5月に民間企業として世界で初めて有人試験飛行を実現し、その後の2020年11月に本格運用初号機が打ち上げられました。そのクルーの1人だったのが野口 聡一氏です。
野口 聡一氏はそのことについて、「僕たちは2020年11月に打ち上げられ、2021年5月に帰還した。そのわずか4ヶ月後に、同じカプセルを使って民間人4人だけのプロが誰もいないフライト Inspiration4を成功させた」と語りました。
なお、初号機の打ち上げからはNASAなどの支援を受けず、スペースX自らが運用や訓練、救援部隊の配置などを行っています。
スペースXの手法を「間違いなくパラダイムシフト」と語る
従来であれば長期間に渡る訓練を受けて挑戦できる宇宙飛行ですが、そのときは圧倒的に短い訓練期間で成功させています。そのことが関係者にとって驚きだったとのことです。
その後、訓練期間をさらに短くし、プロの宇宙飛行士1人が同乗する「Axiom Mission 1」を実現させたことも衝撃的で、スペースXによる宇宙飛行の手法を「間違いなくパラダイムシフト」と、野口 聡一氏は振り返っています。
スペースXを絶賛する理由を述べた野口 聡一氏は、今後こうした宇宙旅行の方法が当たり前のようになると見ています。また、プロの宇宙飛行士が同乗することにより、民間人は緊急時の危機管理に気を回さなくて良くなることが重要、とも語りました。
最後に、「AXAとNASA生活より、最後の2年間のスペースX生活で学んだことが多い気がしている」と語り、スペースXは「変革が速いアジャイルな組織」「考え方がフレキシブル」「ドラスティックな変化をいとわない」という企業体質だと分析しました。
スペースXは新型宇宙ロケット「スターシップ」の打ち上げ準備を進めるなど、宇宙開発に現在も積極的に取り組んでいます。今後のスペースXの活躍に期待が高まります。